『あいぴょんが欲しい!?』

久々に鳴らずのひかり電話がひからずに鳴った! 『あの〜いふいふ〜?』と藤山寛美さんの物まね
で電話をかけてきたのは、スティーブ・ジョブズくんであった。 なんでも『あいぴょ〜〜ん』とか
いう新型の携帯電話を発売するのだが、ある大物歌手が欲しいので特別にまわしてくれと言ってて、
どうしたもんかとかつての共同設立者のわしに相談してきたのである。

わしは即座に言ってやった。 『何人もリンゴの前では平等であるべきだ。みんなといっしょにスト
アーに並んでもらえ!』 スティーブはわしに『ありが10匹』と言って、お礼に『あいぴょ〜ん』
をプレゼントしたいと申し出たが、携帯を未だに使っていないわしは丁重に辞退した。

その後テレビのニュースで知ったのだが、『あいぴょ〜ん』だと思っていたのはどうも『iPhone』の
勘違いであった。 あいかわらずスティーブは発音の悪い男である。 そして例の大物歌手というの
はシェールであった。

マドンナやライザ・ミネリなどの大物クライアントを抱え、優遇措置に慣れきったシェールの広報は、
断られたことにショックを隠せず、ロサンゼルス・タイムズ紙の取材に対し、「アカデミー賞とグラ
ミー賞とエミー賞を獲っているシェールを、行列に並ばせようというのか!」と怒りをぶちまけたと
か。

アップルではなく、ソニーであればシェールも優遇してもらえたのに・・・・とりんごをかじりなが
ら一人にんまりしたわしであった。 月の輝く夜に・・・・。