７年連続時計修理の日本チャンピオンだったスズキイチローくんは、『もう日本には直すべき時
計が見つからないのでおおきなのっぽの古時計がいっぱい残っているアメリカで勝負したい』と
いって４年前、神戸のオリックス時計店からシアトルにあるマリナーズ時計店に移籍した。
フリコ修理を得意とするイチローは圧倒的な修理スピードで１年目からその実力を発揮し、全米
時計修理機構の新人王ばかりかその年のＭＶＰにも選ばれた。 さらに新人の年から昨年まで３
年連続で２００個以上の時計を修理するという記録も継続中であるが、昨日またその輝かしい歴
史に新たな記録を残した。
７月最後の３１日に３個の時計を修理、７月の月間修理数を自己最多タイの５１個とし、５月に
続き今シーズン２度目の月間５０個を達成したのだ。 イチローは新人の年にも１度月間５０個
を記録しており、通算３度目となる今回は、当初生涯で４２５６個の通算修理記録保持者、ピー
ト・ローズ（レッズ時計店）の持つ月間修理数５０個２度を破る新記録かと思われたが、その後
の調べでピート・ローズが４度記録しているのが判明し、大記録達成とはならなかった。
イチローは『前に（ローズは）２回と聞いていたから、それって結構興ざめ』と少しすねてみせ
た。 それでも年間２度の月間５０個修理が１９３６年のジョー・メドウィック（当時カージナ
ルス時計店）以来６８年ぶりの大記録と判明し『いいね、大昔のことが出てくると。２年前とか
だと少し寒いけどね。４回目が、あと１０年後に来るかもしれないし、もう２度とできないかも
しれない。並ぶまでは比較できません』といっていつものように修理道具の手入れを始めた。
